LIVE IN BUDOKAN 〜The HOTEI〜 “Super Hits & History”

アルバムやツアーはなかったものの精力的な活動であっという間に1年が過ぎた感のある2024年。元旦の大震災からCOMPLEXの東京ドーム公演が急遽決定し、ファンクラブ限定ライブ、韓国公演、舞鶴フェスティバル、ベイスターズの開幕セレモニー参加、さらにはズッケロのライブやサウジアラビアのオーケストラ日本公演へのゲスト参加など。全国ツアーは行わなかった代わりに開催されたのが、日本武道館での2Daysライブ。

武道館公演は2021年1月の無観客ライブ以来となり、有観客ライブとしては2016年「Climax Emotions」ファイナル以来の開催でした。そのテーマは「とにかく観客に楽しんでもらうこと」。ライブはパーティのような雰囲気を目指しつつも、2021年1月の無観客武道館での苦い経験(私はこの武道館ライブはファン目線では感動しましたし作品とし好きですが)を払拭し、新たな記憶を刻むという強い意志が込められていたように思います。何より1日目のメンバー登場時のSEは無観客武道館と同じSEが使用されていました。

満杯の武道館というファンの期待にどう応えるのか

初日となる平日はバックステージ席がわずかに売れ残る状況でしたが、ほぼ完売。2日目は完全SOLD OUTを記録。COMPLEXの東京ドーム効果で新たにファンクラブに入った人たちが武道館ライブをみにきたというのももちろんあったとは思いますが、普段布袋寅泰のライブに来ていない人が生で体験できる機会と捉えると布袋さんは嬉しかったのではないでしょうか。間違いなくファンの期待感の高さを示していたように思えます。

セットリストはファンの心を揺さぶる36曲

セットリストは「The HITS」と「The HISTORY」というコンセプトに基づき、2日間で計36曲を披露。両日にわたって9曲が共通していましたが、布袋のキャリアを語る上で欠かせないヒット曲や代表曲が中心であることを考えると、重複はむしろ自然と言えるでしょう。

2016年の35曲ライブと比べても、ボリューム感はほぼ同等。しかし、被っている曲は全体の半分程度に留まり、過去のライブとは異なる新鮮さがありました。今回のセットリストの中で最も新しいフィジカルフォーマットでのシングル曲は2010年リリースの『STILL ALIVE』。「STILL ALIVE」は北斗の拳ファンの認知度が高く、布袋ファンにはピンとこないかもしれませんが、世界的にみてもBattle Without Honor or Humanityと並ぶ布袋の代表曲。マンウィズとの「Give It To The Universe」も配信シングルで布袋ファン以外にも知られており、この曲が2019年なので、結構幅広くチョイスされていたものの、最近の曲よりも昔の曲の比率が高めで構成されていたため「HITSとHISTORY」というタイトルから想像する内容と異なると感じたファンもいたかもしれません。2016年や2021年と比較しても「同じことは繰り返さない」という布袋のアーティストとしての信念が色濃く反映されていたように感じます。

進化するバンド編成と楽曲アレンジ

今回のライブでは、バンドメンバーが近年ほぼ固定となっていたメンバーが一部変更されました。ドラムには久しぶりにみんな大好きザッカリー・アルフォード。久しぶりと言っても長年布袋バンドで叩き続けてきたわけで、布袋ソロ曲のライブ=ザックのドラムで体験してきた人が多く、歓迎する人が多かったと思います。私は古田たかしさんもザックもどちらも好きです。そしてキーボードがH ZETT M。椎名林檎や東京事変のファン、H ZETTORIOのファンには嬉しいサプライズ。そして初めて彼のプレイを目の当たりにした人は多分今後が気になる人も多かったでしょう。さらにパーカッションでスティーブ・エトウが参加しているため、ビート感と煌びやかさが足されており慣れ親しんだ楽曲が全て新しく。ステージパフォーマンスも個性的なメンバー故に目移りしてしまう見所満載感。どの楽曲も鮮度を増し増しだったわけですが、COMPLEXの「1990」やBOØWYの「MEMORY」が布袋ソロで初めてバンド演奏で披露されたことは、大きな驚きと感動をもたらしてくれました。

また、使用されたギターも注目ポイント。COMPLEXの「日本一心 2024」でも使用された新モデル「Zodiac NEO Eternal Legacy HOTEI Model」を中心に、FernandesのサスティニアックやZodiacworksのTC-HOTEI黒ラインモデルも登場。Zodiac NEO Eternal Legacy HOTEI Modelのサスティナー付きも使用され、新しい布袋モデルとこれまでのギターがどのように使われていくのかが、なんとなく垣間見えたライブでもありました。

【武道館の熱狂】360度ステージが生む一体感&ライブの真価

今回はバックステージ席があることで観客がステージを360度囲む形式。以前ヒムロックの武道館ライブでも似たような形式がありました。会場全体が布袋寅泰の音楽に引き込まれ、熱狂が広がる様子は圧巻でした。かつての創世記で1Fスタンドまで花道が設置されたときも観客との距離が近く武道館が揺れましたが、その時と同じくらい、ひょっとしたらそれ以上だったかもしれません。

特に注目すべきは、代表曲での観客との一体感。なんだかんだでBOØWYのDreamin'は特別な曲ですね。何度も会場がひとつになる熱狂を体験してきましたが、今回はいつも以上に感じました。

【ライブ配信】見逃し配信と今後のリリースに期待

この武道館ライブはU-NEXTで生配信されたので武道館に足を運べなかったファンもリアルタイムで感動が共有されました。配信された映像のクオリティの高さから、2025年発売予定の「GUITARHYTHM VIII」初回盤ボーナスディスクに収録されるか、単独で映像作品として販売される可能性も高いでしょう。どちらにせよ、ファンにとっては必見のライブです。12月14日12時〜1月5日23時59分までU-NEXTで見逃し配信あります。

【まとめ】布袋寅泰の「今」を感じる武道館ライブ

今回の武道館2Daysは、現在のファンはもちろん、かつて布袋寅泰に熱狂したファンにもぜひ観てほしい内容です。「懐かしい」だけではなく、彼がいまだ進化を続けている姿を体感することで、新たな発見や感動が得られるはずです。布袋寅泰の音楽が持つ力と、変わらぬ情熱、今もなお続ける進化を感じさせるステージングは、ファン歴30年以上の筆者にとっても新たな感動を呼び起こしました。ぜひひとりでも多くの人に再び感じてもらいたいと思います。

無観客武道館のときのライブのサブタイトルにあった「とどけ。」が、今回私個人的には、かつてのファンに向けての気持ちと重なりました。

大きな玉ねぎの下で

武道館はやっぱりファンにとっても特別な場所だと思います。それこそ、ライブハウス武道館へようこそ、の名台詞が産まれた場所、布袋ファンにとっては、SERIOUS!CLIMAXのファイナル武道館、創世記、35thのファイナル公演といった、それぞれを人生一番のライブにあげる人も多いと思います。頭蓋骨骨折からのスコルピオライジング武道館もありました。布袋さん自身、自己最高の武道館を更新とおっしゃってましたが、同じように更新されたファンも多かったと思います。

最後に、布袋さんもおっしゃってましたが、売り上げでなく多くの人に届くといういみでのヒット曲、Battle Without Honor or Humanity、STILL ALIVE、Give It To The Universeに続くHOTEIの新たな代表曲の誕生を心より願っています。

HOTEI official website links

布袋寅泰オフィシャルウェブサイト 布袋寅泰公式ファンクラブ 布袋寅泰公式インスタグラム 布袋寅泰公式YouTube