TOPGUITAR > Zemaitis

更新日:

1969 ZEMAITIS Custom Deluxe WILD

Zemaitisを入手するきっかけはベーシストのクマ原田氏の紹介でミュージシャンであり楽器レンタルやスタジオ経営などミュージックビジネスを手掛けるJeff Allenと出会ったこと。このZemaitisはJeff Allenから布袋が初めてZemaitisを譲ってもらったときの1本。ぺグ、ナット、フレット、電気系パーツは交換済み。またフレットの位置も数箇所変更されている。薄く、小ぶりなボディのバックプレートはメタル製。

WILD ZEMAITISの背面

1990年にトニー・ゼマィティス本人によりリペアが施されており、このようにバックプレートにはRefurbished for HOTEI A+G+Z - 1990と彫られている。Zemaitisギターに彫られているA.C.Zは、アンテニュー・カシミア・ゼマイティスというトニーの本名のイニシャルだが、A+G+Zの意味はよくわからない(どなたか教えてください)。

ライブで初めて使用されたのは1990年の花田裕之のRiff Rough Session

このギターは、アルバム『GUITARHYTHM Ⅲ』のレコーディングで大活躍し、1992年にエディ・ヴァン・ヘイレンとピーヴィーが共同開発したアンプ「5150」との組み合わせでG3を象徴するサウンドを作った。LONELY★WILDはこのギターから生まれた曲であり、Looking for WILDをテーマにした全国ツアー「GUITARHYTHM WILD TOUR」でも使用されたことから、ZEMAITIS WILDと呼ばれるようになった。立ち上がりが早く、太く粘り気のあるサウンドがこのギターの特徴。布袋モデル同様かなり「弾きにくい」ギターであり、そこが気に入っているポイントでもあるそう。現在、布袋にとって、ツアー、レコーディングには欠かせないギターとなっている。PUはトニー氏が、このギター用として設計しケントアームストロングにオーダーしたもの。

このZemaitisの細いネックに慣れてしまい、メインの布袋モデルのネックが太く感じだしたため布袋本人の布袋モデルのネックは少し細く変更されている。

ライブでのこのギターによるLONELY★WILDはDVD『GUITARHYTHM SERIOUS!CLIMAX』に収められているプレイが個人的にはイチオシ。

布袋寅泰といえばTE-HTだが、このWILDも非常に人気のあるモデルで、安価なコピーモデルが販売された。そのため、布袋寅泰本人がコピーモデルを日本で販売して金儲けしているといったデマがトニー・ゼマィティス本人にまでとどいてしまったという。無事直接会って誤解は解けたとのこと。2000年にトニーは引退し2002年 8月17日にトニー氏が亡くなってからは、Zemaitisブランドをトニーの遺族から日本の楽器メーカーが正式に取得したため、現在販売されているZemaitisは本物ではある。ダニー・オブライエンも関わっている。しかし、トニー・ゼマィティスがオーダーした人のために作っていたモデルは1本として同じギターがないというのがオリジナルZEMAITISの魅力でもあった。現在販売されているZemaitisは彫金やシェルのデザインなどはおそらくオーダーできるにせよ本体はトニーが残した設計図をもとに作られたレプリカの量産型である。昔は熱心なファンは本物のZemaitisを手に入れようとしていた(オリジナルZemaitisの多くは日本にあるという話も)が、トニーが亡くなったことで価格が高騰してしまい、そもそもイギリスで作られたギターということで気候の違いもありメンテナンスに手間がかかることから、現在のZemaitisを手にいれるのがベターと考える人が増えてきているようである。ただ、個人的に不思議なのは、布袋さん自身は他の人と同じギターは持ちたくない、BOØWYの真ん中の空集合はどこにも属さないという意味だったり、ということをファンは知っているはずなのに、なぜか同じもの、同じようなものを求める。昔はオリジナルZemaitisを欲しがるファンが多かったが、おそらく自分だけのZemaitisが欲しかったのではないかと思う。

WILD ZEMAITISの背面

数多くのステージを経て、傷だらけのZEMAITIS WILD。唯一無二の存在感。布袋寅泰だけのZemaitis。

ボディ

ホンジュラス・マホガニー

ネック

ホンジュラス・マホガニー

指板

エボニー

ピックアップ

ケント・アームストロング(Zemaitis特注)

コントロール

2ボリューム
2トーン
3ウェイ・トグル・スイッチ