ギタリズム名義の最後にして最強のシングル。オリジナルアルバムへの収録はなく、GUITARHYTHMのベストアルバム「
GUITARHYTHM FOREVER Vol.1」に収録された。
GUITARHYTHMのスタートが"C'MON EVERYBODY"であり,終わりがこの"POISON"となるわけだが、この2つの曲が布袋寅泰と藤井丈司によって作られたという点が興味深い。アルバムとしては「
GUITARHYTHM Ⅳ」がラストアルバムであるが、この"POISON"というシングルはアルバム「
GUITARHYTHM Ⅳ」とは離れた位置、もっといえば特殊なポジションにあり、布袋寅泰の歴史を語る上で非常に重要なシングルである。
レコーディングには「
GUITARHYTHM Ⅳ」のバンドメンバーは小森茂生以外は参加していない。印象的なベースプレイも全て布袋によるもの。サウンドも特殊で"音の塊"を意識したモノラル定位のミックスとなっている。ヴィデオクリップは中野裕之が手がけ、この出会いが後の活動に大きく影響を及ぼした。「
GUITARHYTHM Ⅳ」で新たな始まりを予感させ、このGUITARHYTHM最後のシングルでは次の布袋寅泰を垣間見せている。
布袋寅泰のソロ・シングルとしては最も売れた一枚であり、約90万枚を売り上げた。世間一般のイメージとして布袋寅泰を代表する3大ヒットシングル(ポイズン、スリル、バンビーナ)の1曲であり、布袋のいうところの"チャートに挑んだ時期"の先駆け的存在である。ただし、いわゆる売れ線のヒット曲ではなく、トゲのある、タイトルになぞっていえば、毒のある、B級ソングであり、そこに布袋寅泰らしさを感じる。
人間の『きれいな気持ち』を描こうとする時、イレギュラーな設定の方が伝えやすい場合がある。例えば道徳的には良くないとされている三角関係や不倫の中で、自分の良心を責めながらも自分の情熱を殺せない主人公は『きれいな気持ち』の持ち主だと思う。たぶんそれは、闇夜を眩しく照らす懐中電灯が、蛍光灯の下ではあまり目立たないことと同じだ。成熟し腐敗しかかっている社会の中では、何が悪で何が善であるか明確に分けられないのだから、正義の味方が説く愛にはどこか嘘が匂う。ダーク・サイドの痛みや哀しみを知ったヒールこそ、今、愛を歌う意味があると思う。布袋寅泰は、闇の中で光を探し続ける、孤高のアーティストだ。
森雪之丞
LONELY★WILDに続く「ブティックJOY」CMソング。