KAMEN & HOTEI GUITAR CONCERTOのCDジャケット
1998.06.01

GUITAR CONCERTO KAMEN & HOTEI

更新日:

POCF-1001
【CD】 ※廃盤

1994年東大寺で開催された『GME '94 〜21世紀への音楽遺産をめざして〜 AONIYOSHI』で出会ったマイケル・ケイメン氏がエリック・クラプトンのために作ったギターコンチェルトをクラプトンの代わりに布袋寅泰に弾いてほしいと依頼し実現した作品。LONDONレーベルより世界発売されたインストゥルメンタルアルバム。このアルバムで使用しているギターはFenderのストラトキャスター(1966年製のゴールド)。

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収録曲|GUITAR CONCERTO

Michael Kamen
Guitar Concerto
for Electric Guitar, Rock Band and Orchestra
commisioned by Eric Crapton

  1. 第1楽章 [14:08]

    1st Movement

  2. 第2楽章 [9:20]

    2nd Movement

  3. 第3楽章 [7:55]

    3rd Movement

  4. Eric Crapton/Michael Kamen
    Edge of Darkness

  5. 核輸送列車 [6:02]

    Nuclear Train

  6. Bonus Track

  7. ギターコンチェルト第3楽章: ギター用マイナス・ワン [7:55]

    Third movement of Guitar Concerto minus Guitar

作品の解説

布袋寅泰の活動において1994年に東大寺にて行われた世界的音楽イベント「GME'94 AONIYOSHI」におけるメイケル・ケイメン氏との出会いは、ファン目線ではとてつもなく大きい出来事だったように思える。アルバム『King&Queen』への参加、アトランタオリンピック閉会式での共演や楽曲(On Wings of Victory)への参加、布袋寅泰が自身の作品で初めてプロデュースを任せた(シングル『THANK YOU & GOOD BYE』)のもマイケル・ケイメンである。レイ・クーパーと映画『ラスベガスをやっつけろ』のサントラに参加したのもマイケル・ケイメンとの出会いによるものだろう。マイケル・ケイメンがロックミュージックと関わるようになったのはDAVID BOWIEのダイヤモンド・ドッグス・ツアーの音楽監督を依頼したことがきっかけであり、このツアーでは演者としても参加しキーボード・シンセサイザーを演奏している。その後ピンク・フロイドのTHE WALLをはじめ様々なアーティストに関わり、同時にハリウッドの音楽で確かな地位を確立した。そのマイケル・ケイメンが1994年のAONIYOSHIで布袋寅泰と出会い、エリック・クラプトンの代わりにギターを弾いてほしいと依頼し実現したという流れは布袋ファンにとっては、少なくとも世界で活躍する布袋寅泰をみたいと願うファンにとっては心躍るエピソードである。これまでにも海外アーティストの作品に参加したことはあったが、このアルバムはKAMEN&HOTEIというHOTEI名義として初の海外リリース作品である。

重厚かつ美しいオーケストラと、布袋寅泰のギターの融合・・・ 目を閉じて、じっくり聴くと、きっと、誰もが感動する作品だと思う。なお、布袋のお母さまが、はじめて、息子の作品を聴いて涙したという。

この作品は元々マイケル・ケイメンがエレクトリック・ギターの為のコンチェルトとして書いたもの。そして、そのギタリストはエリック・クラプトンであった。1990-1991にかけて24日間に渡る24ナイツというロイヤルアルバートホール公演を行ったのだが4つの異なる編成で行われた。その内の一つがオーケストラであり、そこで、このギターコンチェルトは演奏された。勿論指揮はマイケル・ケイメン。布袋さん自身もこのコンサートは体験している。しかし24ナイツ終了の直後、エリック・クラプトンの息子コナー君が超高層アパートから転落死。そのショックからギターコンチェルトのCD発売はお蔵入りとなる。ライブの24ナイツはCDとDVDで販売されているのだが、収録されたのはエッジ・オブ・ダークネスのみであった。クラプトンによるギターコンチェルトは長らくブートレグいわゆる海賊盤でしか聴くことができなかったのだが、2023年6月23日に『ザ・ディフィニティヴ・24ナイツ』というボックスが発売(単品発売もあり)されConcerto for Electric Guitar (Live at the Royal Albert Hall)が公式にリリースされ音源だけでなく映像もリリースされた。是非とも聴き比べてみてほしい。

エリック・クラブトンは1960年代から私の“ギター・ヒーロー”でした。彼と初めて違ったのは1984年のことで、以来、実り多いクリエイティヴなプロジェクトをコラボレートしてきました。初めにロジャー・ウォーターズの「ザ・プロス・アンド・コンス・オプ・ヒッチハイキング」で共にプロジェクトに関わり、さらに「エッジ・オプ・ダークネス」と映画「リーサル・ウェポン」シリーズの全3作で共作、そしてロンドンのロイヤル・アルパート・ホールで2年続けて行われたエキサイティングなコンサートがきっかけとなって生まれたのがクラブトンのアルバム「24ナイツ」とこの「ギター・コンチェルト」です。
クラプトンの楽曲と我々が創作したコンチェルトを共演したあの晩の音楽的感動は、今までに経験したどんな喜びにも勝っていました。彼が、彼自身のギター、考えられないようなミュージシャンたちによるパンド:ベースのネイザン・イースト、ドラムスのスティーヴ・フェローン、キーボードのグレッグ・フィリンガンズ、リズム・ギターのフィル・パーマー、そして私の素晴らしき友、パーカッショニストのレイ・クーパーと、シド・サックスいる75人組成のナショナル・フィルハーモニック・オーケストラをフィーチャーした作品を書いてくれないかと依頼した時、私の念願の夢がかなったのでした。
4世紀もの間、協奏曲のジャンルにおいてオーケストラをリードしてきたソロ楽器は、ヴァイオリン、チェンバ口、そして少し下ってピアノです。バッハ、プラームス、モーツァルト、そしてベートーヴェンなど、偉大なる作曲家が手掛けた傑作には、いずれもこれらのソロ楽器がオーケストラに支えられてきました。21世紀に突入しようとする今、感情表現も演奏家の技術もさらに磨きがかかり、そして我々は今サックスやエレクトリック・ギターで気持ちを紡ぐことが可能になったのです。これらの楽器は才能ある者の手によって、パワフルで個性的な歌声を持つようになるのです。彼らが作る音楽はハートとソウルから生み出され、信頼できる手によって具象化され、この地球上の何百万という人々に直接語りかけるのです。ギター、キーボード、ベース、そしてドラムスというコンビネーションは、今世紀、そして来世紀の弦薬四重奏となりました。20世紀の作曲家としての私の役目は、オーケストラの過去とエレクトリック楽器の未来とを結合することです。音楽はまさに普遍的な言語であり、どんな時代でも人間が感じ、そして分かち合う気持ちはずっと同じだと信じています。オーケストラの団員もロック・パンドも同じミュージシャンです。お互いの人間性とミュージシャンシップを理解し合い、応えることで、情熱と斬新さに満ちた音楽を創り出すスリルを、心から楽しむことができました。
このギター・コンチェルトは20世気後半に生まれるべくして生まれたものと言えるでしょう。ようするに、管弦楽の美しい旋律の組織に、なめらかで即興性のある言語が入る空間を創り出すこと、それこそが作曲家の領域なのです。私は両方の言語を聞いて育ってきたわけで、曲を作るときの中でどちらの方法で具現化したらよいのか、と選んででいくだけです。このユニークなバンドとオーケストラに共演してくれたのは、日本の素晴らしいギター・ヒーロー、HOTEI。彼の豊かな才能と、素晴らしいテクニック、そして独特なスタイルが、この作品に新たな生命をもたらしてくれました。

マイケル・ケイメン

ギターという楽器を一度でも手にしたことのある人なら、その美しい曲線美と六弦の張り詰めた緊張感が生む神秘的な魅力を御存知であろう。そして私はその魅力に人生を賭けた人間の一人である。ギターは、いや音楽は自らの感情を表現する手段というよりも、今や私の人生そのものであると言っても過言ではない。
幼少の頃から音楽好きの家庭環境に恵まれクラシックやアルゼンチンタンゴ、映画音楽を聴きながら育ち、ピアノ教育も受けた。しかし課題曲を繰り返し練習するのはいささか退屈なもので、いつしか教則本を閉じポップスや自分なりのメロディーをつま弾くようになり、次第にピアノレッスンへの興味も薄れてしまった。
ある程度成長し自己のアイデンティティーに目覚めた頃、ロックと運命的な出会いをしてしまった。激しく空気を揺らすそのスタイルは自由への扉に思えたのである。譜面にはなりえないドラム、ペース、ギターが生み出す瞬間のパワーは、まさしく竜気ショックそのものであった。そしてその中でも歪んだギターの音は宇宙を駆け巡るロケットの噴射音に聞こえたし、それをあやつるギタリストたちは宇宙飛行士みたいに思えた。思春期の少年は誰もがスポーツやバイクや異性に憧れる。私はロックに憧れた。ギタリストたちがヒーローだった。
エリック・クラプトンは紛れもなくその中の一人である。
マイケル・ケイメン氏から「エリックの代わりにギターを弾いてくれないか?」との依頼を受けた時は正直言って戸怒った。ヒーローの代役としての喜びや不安からではない。エリックとケイメン氏が一度作り上げた作品に代役がきくのか?と思ったからだ。唯一無比のスタイルこそが美の基本である。芸術としてのスポーツを語るときランナーもポクサーも速さや強さと共にフォルムの美しさが求められる。どんなに完璧に模写された絵画でも、贋作に創作者の魂は宿らない。音楽もしかりなのである。しかしケイメンはこう言ったのである。「私と君のコンチェルトを創りたい」と。
日本と英国をお互いに何度も行き来し、この作品は録音された。永遠に終わりのない作業のように思えたが、今こうして完成されたコンチェルトを皆さんにお聞かせできることは至上の幸せである。実際なるべく聴かない様にしたがマルチテープにはエリックの弾いたトラックがあり、私のプレイをいつも見守ってくれているように思えた。ケイメン氏とエリックと私の3人だけで視聴会をしようとの計画もありその日が今から楽しみだ。
ギタリストとしてオーケストラとギターだけの作品を作れるチャンスは一生に一度かもしれないと思う。私を選んでくれたケイメン氏に心から感謝している。この作品に参加して私は以前にも増してギターが好きになった。いつの日か20紀を振り返る時、私はこの「ギター・コンチェルト」を贈くだろう。ギターが私の人生を変えたあの日のことを思い浮かべながら。

布袋寅泰

一部ファンの中には、クラシックのライブ盤と同様にとらえオーケストラとの一発録り、さすが!と勘違いしている方がいるが、上記本人コメントからも分かる通り一発録りではない。この作品をつくるにあたって相当ギターの練習をしたようで、1998年を境に布袋寅泰のギターは巧くなったという声も。

2003年に難病を患っていたマイケル・ケイメン氏は心臓発作にて死去。ケイメン指揮によるギター・コンチェルトをライブで行うという夢は叶わなかった。2012年に日本武道館で開催した「布袋寅泰 GREATEST SUPER LIVE “GUITAR × SYMPHONY” HOTEI with THE ORCHESTRA~WORLD PREMIERE~ Powered by MINI ROADSTER.」でSimon Hale指揮でギターコンチェルトをライブで披露した。

CDには第3楽章のギターパート譜、ロゴ&サインのステッカーが封入されている。またMVは第3楽章のみ製作され、中野裕之監督作品である。1998年の音楽番組ではたまにOAされていたが、商品化はされていない。

2010年のバンクーバー冬季オリンピックでフィギアスケート日本代表の小塚崇彦選手がフリー演技で使用した。また2012年10月6日に、さいたまスーパーアリーナで行われたCarnival On Ice 2012にて小塚崇彦、カート・ブラウニング、ジェフリー・バトルの3人の演技においてスケートリンク上でギターコンチェルトを生演奏した。

このCDの発売・販売元はポリグラムであるが、ユニバーサルミュージックに吸収されている。CD自体は廃盤であるが、配信はされており、ポリグラムが1980年に買収したデッカ・レコード、現在のDecca Music Group Limited(ユニバーサルミュージック)が配信を行っている。そのため配信サイトではジャケット写真にDECCAのロゴマークがついている。

Nuclear Trainは、マイケル・ケイメンの楽曲を集めたコンピレーションアルバム『The Michael Kamen Soundtrack Album(国内盤:マイケル・ケイメン映画音楽ベスト)』にも収録されている。

クレジット|GUITAR CONCERTO

Guitar Concerto

布袋寅泰(リード・ギター)
Tomoyasu Hotei (lead guitars)

ネイザン・イースト(ベース・ギター)
Nathan East (bass guitar)

グレッグ・フィリンガンズ(キーボード)
Greg Philinganes (keyboards)

スティーヴ・フェローン(ドラムス)
Steve Ferrone (drums)

レイ・クーバー(パーカッション)
Ray Cooper (percussion)

フィル・パーマー(リズム・ギター)
Phil Palmer (rythm guitar)

ナショナル・フィルハーモニック
The National Philharmonic

指揮:マイケル・ケイメン
conducted by Michael Kamen

Nuclear Train

布袋寅泰(ギター・ソロ)
Tomoyasu Hotei (guitar solo)

スコット・ロッケンフェルド、エディ・ジャクソン、クリス・デガモ(クイーンズライチ)
Scott Rockenfeld, Eddie Jackson & Chris DeGamo of Queensryche

シアトル・シンフォニー・オーケストラ
Seattle Symphony Orchestra

指揮:マイケル・ケイメン
conducted by Michael Kamen

Recorded in:
BBC Studio...Maida Vale, Planet Kingdom Studio... Tokyo,Metropolis...London
Engineered and mixed by Stephen McLaughlin with Kunihito Imai@OOROBEAT
Produced by Michael Kamen, Stephen McLaughlin, Chris Brooks

Special thanks to: Eric Clapton, Ray Cooper, Roger Forrester, Harvey Goldsmith, John Beug, Russ Titelman, The Royal Albert Hall, Roger Lewis, Lenny Zakatek, Robert Urband, Wan2-san, Kasuya-san, Imai-san, Ed Shearmur, Bill Harrison, Vic Fraser, All the musicians who have given their inspired performances, Sid and Shirley Sax, Lydd House.

Representation for Hotei: Toy Box Publishers
Mitsunobu 'Wan2' Sekiguchi - Manager, Toy Box Publishers
Senji Kasuya - President, Toy Box Publishers
Lenny Zakatek - International Manager IRc2 London
Hidehito Satake - Guitar Technician
Tomoyasu Hotei appears courtesy of Toshiba/EMI.
it's all for Sandra Sasha and Zoe

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