布袋寅泰と吉川晃司によるCOMPLEXの2nd Album。1989年終わりに起こった天安門事件,ベルリンの壁崩壊といった世界の情勢に大きな影響を与えた出来事もあり,ROMANTIC 1990というアルバムタイトルにある"1990"が90年代の幕開け、20世紀の終わりに向けての10年の始まり、そういった意味をもっていると思われる。

前作「COMPLEX」と比べて変わったのは、アレンジが大胆かつ派手であること。そしてギターのキャラクターがハッキリしていること。エフェクターをほとんど使用せず本来のギターのもつ音で表現されている。これはこのアルバムのレコーディング前に手がけた花田裕之のアルバム「Riff Rough」のレコーディングの流れと思われる。そして吉川晃司作曲の曲が1曲(MODERN VISION)のみで、COMPLEXというよりも布袋寅泰のアルバムでヴォーカルに吉川晃司と捉えられる人も少なくないのかもしれない。

この時は、もう完全な分担作業だったね。ほとんどYMOでしたね。もう話が合わないから任したの。で、曲の感じだけは、俺が歌える、歌えないがあるから、それは俺が決めていいねって言って。だからもう二枚目の時にはユニットではあり得なかった。でも何か一枚で終わるのも格好悪いしね……。これはアルバム全体像で一枚みたいなテーマでやりたいねっていうのがあった。世紀末とか90年代の幕開けだみたいな、ちょっと大袈裟なテーマで……。ちょうど中国やベルリンが云々かんぬんで、俺らはニュースでしか見てないけどやっぱり熱くなってんだよね。いても立ってもいられない状態みたいな。画面の向こうで人が死んでるのに、何で六本木をパンチラ姉ちゃんが歩いてるんだ?変だね、みたいな。それで「MODERN VISION」ができたの。このアルバムでは十曲くらい作ったんだけど、布袋君がダーッと流れ全部を作ってきたんだよ。だから、それでいこうってことになったけど、彼が「この曲はやりたい」っていうので、俺の曲一曲だけ入れたの。もうこの二枚目の時は、スタジオに二人でいなかったんだよね。布袋君の場合、デモ・テープでほとんど作ってくるし、デモ・テープと本チャンがあまり変わらないんだよね。ただスタジオでマルチで撮るっていうだけで。だから別にいいんじゃないのっていうので、歌入れの時とかも彼はいなかったの。流れで全部きた時は、十何曲かをバンッと全部作ってきたのね。ちょとプログレっぽいところがあるのも好きだし、ガット・ギターみたいなのもあって、"おおっ、格好いい!"とか言ってた。ギター・リフがいいよね。やっぱり、自分一人でやってると歌でいっちゃうから、どうしてもバッキングっぽくなって、ちょっと執着心に欠けるんだよね。でもギタリストは、歌をぬって自分が出なきゃいけないわけ。すると執着してうまいところにギターをハメてくるんだよね。そこが美しいなと思うよ。音の作り方っていうのが、布袋君から学んだいちばん大きなものだね。やっぱり俺たちの場合、バランスが取れなかったんだよね。俺は全然年下だし、人曰く、彼のほうが実績があるしね。自由になる歌い手を入れて、たとえばチープ・トリックみたいなバンドだと布袋ちゃんは合うんだと思うね。今考えると、もっと違うやり方があったと思うけど、その時ってクソ意地になるとこがあったからね。もうガチッと固まっちゃってね。だから二人とも居心地が悪かったと思うよ、きっと。そういう意味では成功とは言えなかったと思うけど、俺自身の中では成功だと思うんだよね。いっぱい得るものがあったからね。このアルバムは結構好き。特に「GOOD SAVAGE」と「DRAGON CRIME」がいいね。やっぱりリフものが好きなんだよね。

吉川晃司 

このアルバムに伴って行われたROMANTIC 1990 TOURの後,1990年11月8日に東京ドームで行われた「ROMANTIC EXTRA」をもってCOMPLEXは無期限活動休止となった。上記の吉川晃司のコメントにあるとおり,当時のインタビューや雑誌での吉川晃司,布袋寅泰の発言はCOMPLEXファンにとってはショッキングな内容が多かった。特に布袋による発言は「商業的成功以外得ることはなかった」「組まなければ少なくとも友達を失うことはなかった」「この2年間音楽的な成長は何もなかった」など過激な表現が多かった。COMPLEX結成当初はソロ活動をするにしてもCOMPLEXであるということが"基本"でずっと続けていくという意気込みを語っていた(後に長く続けるつもりはなかったとも発言しているが)だけに,BOØWYの後ということもあるだけに上手くいかなかったことに対する"悔しさ"が相当なものであったように思える。

しばらくの間,絶縁状態と思われていたCOMPLEXの二人であるが,徐々にお互いに相手のことを普通に発言したり,COMPLEXについて語ったり,ライブ会場に花が贈られてきていたりなどファンからみて,昔のような不仲ではなくなってよかった,と思えるようになりつつあった。あくまで解散ではなく活動休止であり,COMPLEXの復活もありえるのではないかと感じていたファンも少なくなかったであろう。そして2011年,遂に復活。

2011年7月30日,31日に東日本大震災の復興のためのチャリティ・ライブ「日本一心」が東京ドームにて行われる。

*初回限定生産はCDケース自体がアルミニウム・ケース。
*ジャケットのアートワークのうちCGは立花ハジメ氏が担当。

2012年10月10日に,待望のデジタルリマスター盤がSHM-CDとしてリリース。

01.ROMANTICA ROMANTICA - ROMANTIC 1990
作曲・編曲:布袋寅泰
02.PROPAGANDA PROPAGANDA - ROMANTIC 1990
作詞・作曲・編曲:布袋寅泰
03.LOVE CHARADE LOVE CHARADE - ROMANTIC 1990
作詞:吉川晃司/作曲・編曲:布袋寅泰
04.1990 1990 - ROMANTIC 1990
作詞:吉川晃司/作曲・編曲:布袋寅泰
05.BLUE BLUE - ROMANTIC 1990
作詞:吉川晃司・布袋寅泰/作曲・編曲:布袋寅泰
06.MODERN VISION MODERN VISION - ROMANTIC 1990
作詞・作曲:吉川晃司/編曲:布袋寅泰
07.THE WALL THE WALL - ROMANTIC 1990
作詞・作曲・編曲:布袋寅泰
08.NO MORE LIES NO MORE LIES - ROMANTIC 1990
作詞:吉川晃司/作曲・編曲:布袋寅泰
09.GOOD SAVAGE GOOD SAVAGE - ROMANTIC 1990
作詞:吉川晃司/作曲・編曲:布袋寅泰
10.HALF MOON HALF MOON - ROMANTIC 1990
作曲・編曲:布袋寅泰
11.DRAGON CRIME DRAGON CRIME - ROMANTIC 1990
作詞:吉川晃司/作曲・編曲:布袋寅泰
12.MAJESTIC BABY MAJESTIC BABY - ROMANTIC 1990
作詞:吉川晃司/作曲・編曲:布袋寅泰
13.AFTER THE RAIN AFTER THE RAIN - ROMANTIC 1990
作詞:吉川晃司/作曲・編曲:布袋寅泰
ROMANTICA
やっぱり,幕を開けないと,ってね。ゆっくり幕を開けたら,力強い人がいたっていう導入部。
PROPAGANDA
もう俺は出て行くぜみたいな感じで,自分に対する自己嫌悪と,人とか,今の世の中に対する嫌悪感みたいなものをぶつけてみた。へヴィなアレンジだから,たまげられちゃうと困るかなって思ってたけど。
LOVE SHARADE
ジャムでやったって感じだしさ,凄くリラックスしているよね。
1990
一番初めに出来た曲なんだけど、シングルはこれっきゃないでしょうって思った曲。今までつくった曲の中では一番気に入っている。一回聴くと,これ知ってるって思っちゃう不思議な魅力を持った曲だと思う,メロディにしてもコード進行にしても。自分が作ったっていうよりも,他人が書いた感じで聴けちゃう曲だね。アルバムはもっと力強い感じにしようと思って,バージョンを変えた。ピアノは自分でも弾いている。
BLUE
スーッと眠りにつく前の気持ちいい感じをイメージした曲だね。オーロラとか蜃気楼を音にしてみたかったんだ。
MODERN VISION
吉川の書いてきた曲で,彼のデモ・テープの時は「移民の歌」みたいな感じだったんだけど,それをアルバムのトーンに合わせてアレンジしたんだ。
THE WALL
これはベルリンに行ったときに書いた曲なんだよね。壁に関しては俺なりに思い入れみたいなものがあったからね。ニュースを見ていたら.いてもたってもいられなくなって.行ったんだ。ファンクな曲に逆にへヴィな詞が面白いなって思って。
NO MORE LIES
これはイントロのドラムから出来たような曲でさ。この曲も作っていて不思議だったね。小技は結構入ってるよね。ギターじゃないと思われるようなやつもギターで弾いていたりするから。そこは聴いてもらいたいね。
GOOD SAVAGE
これは、宮脇知史君にドラムを頼んで。基本的にハード・ロックって好きだからさ。つまんないやつは嫌いだけど。いいハード・ロックをやりたいって感じでね。
HALF MOON
こういうギターが弾きたかったっていう。名曲だと思うな。5年後聴いたら違うと思うな。後半にマイケルがオクターブ下の音を足してるけど、基本的にノー・エフェクターだね。いろいろな気持ちの時に聴いて欲しいね。感情を揺さぶるような曲だと思うから。
DRAGON CRIME
これもリフから出来た曲で。家でギター弾いてるときは、ほとんどピック使わないからさ。ブルースとか弾いていてもチョップっぽいブルースを弾いていてさ。
MAJESTIC BABY
ストラトのアームがいい感じでさ、トゥワング・ギターみたいな感じがよく出てくるからさ。で、家でリフを作ったんだよね。こういう曲をギタリストに聴かせたいな。
AFTER THE RAIN
これは完璧にセッション。アコギを後でダビングしようと思っていたら、ちょうど花田君が来たんで弾いてもらった。本当に1,2,3で始まった曲だね。セッションの面白さって、決めてやらなくてもタムなんかと合っちゃったりするじゃない?ニャみたいにさ。このソロもそれなんだよね。
PRODUCED BY TOMOYASU HOTEI

KOJI KIKKAWA
VOCALS
TOMOYASU HOTEI
GUITARS,B・G VOCALS,BASIC RYTHM PATTERN & KEYBOARDS("ROMANTICA","PROPAGANDA","1990")
TAKESHI FUJII
KEYBOARD PROGRAMMING
HIDEO YAMAKI
DRUMS("PROPAGANDA","LOVE CHARADE","BLUE","AFTER THE RAIN")
SATOSHI MIYAWAKI
DRUMS("GOOD SAVAGE")
TAKESHI ASADA
BASS("PROPAGANDA","LOVE CHARADE","BLUE","AFTER THE RAIN")
BAnaNA
KEYBOARDS("BLUE","THE WALL","DRAGON CRIME")
HIROYUKI HANADA
ACOUSTIC GUITAR("AFTER THE RAIN")

BRASS ARRANGEMENT BY JASON "FAT HORNS" BRUER("THE WALL","DRAGON CRIME")
BRASS:GS STEPHES/JASON MC DERMID/JASON "FAT HORNS" BRUER/CHRIS LAWRENCE("THE WALL","DRAGON CRIME")
B・G VOCALS:CAROL KENYON/CAROL THOMPSON("LOVE CHARADE","DRAGON CRIME")

RECORDING&MIXING ENGINEER: MICHAEL ZIMMERLING
ASSISTANT ENGINEER: CALUM REES/TRISTIN POWEL/YASUHIRO ITO
RECORDED AT SEDIC STUDIOS
EXCEPT FEMALE B・G VOCALS & HORNS RECORDED AT ABBEY ROAD STUDIOS
MIXED AT OLYMPIC STUDIOS
MASTERED AT MASTER ROOM