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COMPLEXの1stアルバムのCDジャケット写真

1990.04.18

ROMANTIC 1990 COMPLEX

更新日:

TOTT-5660
MT ※廃盤
TOCT-5660
CD ※廃盤
初回限定盤はケースがアルミ仕様
TOCT-95115
SHM-CD ※廃盤
2012年10月10日にリマスター盤がSHM-CDとしてリイシュー。
2019年3月1日より配信中の楽曲もリマスター音源。

布袋寅泰と吉川晃司によるCOMPLEXの2nd Album。1989年終わりに起こった天安門事件やベルリンの壁崩壊といった世界の情勢に大きな影響を与えた出来事から、90年代の幕開け、20世紀の終わりに向けての10年の始まり、が大きなテーマになっている。ヒットシングル『1990』はアルバムヴァージョンで収録。ジャケットのアートワークのCGは立花ハジメ氏が担当。アルバム収録曲のうちの5曲はミュージックビデオが制作され『romantic extra』としてリリースされた。

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  • Track Listing
  • Descriptions
  • Credit Title

収録曲目

  1. ROMANTICA [2:05]

    作曲・編曲:布袋寅泰

  2. PROPAGANDA [3:52]

    作詞・作曲・編曲:布袋寅泰

  3. LOVE CHARADE [5:47]

    作詞:吉川晃司/作曲・編曲:布袋寅泰

  4. 1990 [5:24]

    作詞:吉川晃司/作曲・編曲:布袋寅泰

  5. BLUE [5:30]

    作詞:吉川晃司・布袋寅泰/作曲・編曲:布袋寅泰

  6. MODERN VISION [4:23]

    作詞・作曲:吉川晃司/編曲:布袋寅泰

  7. THE WALL [3:40]

    作詞・作曲・編曲:布袋寅泰

  8. NO MORE LIES [4:00]

    作詞:吉川晃司/作曲・編曲:布袋寅泰

  9. GOOD SAVAGE [3:18]

    作詞:吉川晃司/作曲・編曲:布袋寅泰

  10. HALF MOON [2:15]

    作曲・編曲:布袋寅泰

  11. DRAGON CRIME(East & West) [5:16]

    作詞:吉川晃司/作曲・編曲:布袋寅泰

  12. MAJESTIC BABY [4:03]

    作詞:吉川晃司/作曲・編曲:布袋寅泰

  13. AFTER THE RAIN(朱いChina) [5:48]

    作詞:吉川晃司/作曲・編曲:布袋寅泰

アルバムの解説

前作「COMPLEX」と比べて変わったのは、アレンジが大胆かつ派手であること。そしてギターのキャラクターがハッキリしていること。エフェクターをほとんど使用せず本来のギターのもつ音で表現されている。3曲でFenderのストラトキャスターのサンバーストを使用しているのもポイント。これはこのアルバムのレコーディング前に手がけた花田裕之のアルバム「Riff Rough」のレコーディングの流れと思われる。ちなみに花田裕之もアコースティックギターで1曲参加している。

布袋寅泰による全曲解説

ROMANTICA

やっぱり、幕を開けないと、ってね。ゆっくり幕を開けたら、力強い人がいたっていう導入部。。

PROPAGANDA

もう俺は出て行くぜみたいな感じで,自分に対する自己嫌悪と,人とか,今の世の中に対する嫌悪感みたいなものをぶつけてみた。へヴィなアレンジだから,たまげられちゃうと困るかなって思ってたけど。

LOVE CHARADE

ジャムでやったって感じだしさ,凄くリラックスしているよね。

1990

一番初めに出来た曲なんだけど、シングルはこれっきゃないでしょうって思った曲。今までつくった曲の中では一番気に入っている。一回聴くと、これ知ってるって思っちゃう不思議な魅力を持った曲だと思う,メロディにしてもコード進行にしても。自分が作ったっていうよりも,他人が書いた感じで聴けちゃう曲だね。アルバムはもっと力強い感じにしようと思って、バージョンを変えた。ピアノは自分でも弾いている。

BLUE

スーッと眠りにつく前の気持ちいい感じをイメージした曲だね。オーロラとか蜃気楼を音にしてみたかったんだ。

MODERN VISION

吉川の書いてきた曲で,彼のデモ・テープの時は「移民の歌」みたいな感じだったんだけど,それをアルバムのトーンに合わせてアレンジしたんだ。

THE WALL

これはベルリンに行ったときに書いた曲なんだよね。壁に関しては俺なりに思い入れみたいなものがあったからね。ニュースを見ていたら.いてもたってもいられなくなって.行ったんだ。ファンクな曲に逆にへヴィな詞が面白いなって思って。

NO MORE LIES

これはイントロのドラムから出来たような曲でさ。この曲も作っていて不思議だったね。小技は結構入ってるよね。ギターじゃないと思われるようなやつもギターで弾いていたりするから。そこは聴いてもらいたいね。

GOOD SAVAGE

これは、宮脇知史君にドラムを頼んで。基本的にハード・ロックって好きだからさ。つまんないやつは嫌いだけど。いいハード・ロックをやりたいって感じでね。

HALF MOON

こういうギターが弾きたかったっていう。名曲だと思うな。5年後聴いたら違うと思うな。後半にマイケルがオクターブ下の音を足してるけど、基本的にノー・エフェクターだね。いろいろな気持ちの時に聴いて欲しいね。感情を揺さぶるような曲だと思うから。

DRAGON CRIME(East & West)

これもリフから出来た曲で。家でギター弾いてるときは、ほとんどピック使わないからさ。ブルースとか弾いていてもチョップっぽいブルースを弾いていてさ。

MAJESTIC BABY

ストラトのアームがいい感じでさ、トゥワング・ギターみたいな感じがよく出てくるからさ。で、家でリフを作ったんだよね。こういう曲をギタリストに聴かせたいな。

AFTER THE RAIN(朱いChina)

これは完璧にセッション。アコギを後でダビングしようと思っていたら、ちょうど花田君が来たんで弾いてもらった。本当に1,2,3で始まった曲だね。セッションの面白さって、決めてやらなくてもタムなんかと合っちゃったりするじゃない?ニャみたいにさ。このソロもそれなんだよね。

結局、全体的にプレイにしても曲にしても気に入っているね。聴きどころはギュウギュウだと思うよ。言葉は悪いけれど、盛りだくさんのアルバムだね。

Guitar Magazine 1990年5月号より

全13曲のうち吉川晃司作曲の曲はMODERN VISIONの1曲のみ。COMPLEXというよりも布袋寅泰のアルバムでヴォーカルに吉川晃司と捉えられる人も少なくないのかもしれない。

吉川晃司によるアルバムの感想

この時は、もう完全な分担作業だったね。ほとんどYMOでしたね。もう話が合わないから任したの。で、曲の感じだけは、俺が歌える、歌えないがあるから、それは俺が決めていいねって言って。だからもう二枚目の時にはユニットではあり得なかった。でも何か一枚で終わるのも格好悪いしね……。これはアルバム全体像で一枚みたいなテーマでやりたいねっていうのがあった。世紀末とか90年代の幕開けだみたいな、ちょっと大袈裟なテーマで……。ちょうど中国やベルリンが云々かんぬんで、俺らはニュースでしか見てないけどやっぱり熱くなってんだよね。いても立ってもいられない状態みたいな。画面の向こうで人が死んでるのに、何で六本木をパンチラ姉ちゃんが歩いてるんだ?変だね、みたいな。それで「MODERN VISION」ができたの。このアルバムでは十曲くらい作ったんだけど、布袋君がダーッと流れ全部を作ってきたんだよ。だから、それでいこうってことになったけど、彼が「この曲はやりたい」っていうので、俺の曲一曲だけ入れたの。もうこの二枚目の時は、スタジオに二人でいなかったんだよね。布袋君の場合、デモ・テープでほとんど作ってくるし、デモ・テープと本チャンがあまり変わらないんだよね。ただスタジオでマルチで撮るっていうだけで。だから別にいいんじゃないのっていうので、歌入れの時とかも彼はいなかったの。流れで全部きた時は、十何曲かをバンッと全部作ってきたのね。ちょとプログレっぽいところがあるのも好きだし、ガット・ギターみたいなのもあって、"おおっ、格好いい!"とか言ってた。ギター・リフがいいよね。やっぱり、自分一人でやってると歌でいっちゃうから、どうしてもバッキングっぽくなって、ちょっと執着心に欠けるんだよね。でもギタリストは、歌をぬって自分が出なきゃいけないわけ。すると執着してうまいところにギターをハメてくるんだよね。そこが美しいなと思うよ。音の作り方っていうのが、布袋君から学んだいちばん大きなものだね。やっぱり俺たちの場合、バランスが取れなかったんだよね。俺は全然年下だし、人曰く、彼のほうが実績があるしね。自由になる歌い手を入れて、たとえばチープ・トリックみたいなバンドだと布袋ちゃんは合うんだと思うね。今考えると、もっと違うやり方があったと思うけど、その時ってクソ意地になるとこがあったからね。もうガチッと固まっちゃってね。だから二人とも居心地が悪かったと思うよ、きっと。そういう意味では成功とは言えなかったと思うけど、俺自身の中では成功だと思うんだよね。いっぱい得るものがあったからね。このアルバムは結構好き。特に「GOOD SAVAGE」と「DRAGON CRIME」がいいね。やっぱりリフものが好きなんだよね。

このアルバムに伴って行われたROMANTIC 1990 TOURの後、1990年11月8日に東京ドームで行われた「ROMANTIC EXTRA」をもってCOMPLEXは無期限活動休止となった。上記の吉川晃司のコメントにあるとおり、当時のインタビューや雑誌での吉川晃司ならびに布袋寅泰の発言はCOMPLEXファンにとってはショッキングな内容が多かった。特に布袋による発言は「商業的成功以外得ることはなかった」「組まなければ少なくとも友達を失うことはなかった」「この2年間音楽的な成長は何もなかった」など過激な表現が多かったものの「吉川は悪くない。自分の問題」とも発言していた。これからの日本の音楽業界を背負っていくという使命感をもっていたと思われる布袋寅泰と、そういう気負いのない吉川晃司で方向性のズレがあったように感じられる。そして氷室京介が雑誌上での「あれが布袋の本当にやりたいことなのかなと思って」という発言から、かつてのバンドメンバーに認められていないのは相当悔しかったはずである。

このアルバムは作品そのものの内容よりも、どうしても当時のメンバー間の問題がクローズアップされがちだが当時の布袋さん曰く「最高傑作」であり、ファーストよりもこちらのが好きという人も少なくない。私自身は1992年からの布袋ファンなので、コンプレックスに関しては2人の関係性を知らず純粋に作品のみを楽しむことができ、後のソロ作品のプロトタイプというか原型のような気もしてとにかく凄いアルバムだなと感心したことを覚えている。布袋作品にも多く参加するドラマーの山木秀夫さんが参加しているのは大きなポイント。山木秀夫さんと布袋さんは以前から他アーティストのレコーディングやライブでの共演はあったが布袋寅泰名義の作品としてはこのアルバムが初めてである。

2012年10月10日に待望のデジタルリマスター盤がSHM-CDとしてリリースされた。1998年のベスト盤『complex best』でもリマスタリングはなされていたが、その音質は買い替えるほどではないというか、むしろ劣化してるように感じられ(個人の感想です)オリジナルとシングルを持っていれば良いと思えたが、2012年のコンプレックスのリマスターシリーズは非常に良い音質で仕上がっている。リマスタリングを手掛けたのは過去の布袋作品を数多く手がけたイアン・クーパーによるもの。

このリマスター盤の音源は、2019年3月1日より配信されている。ただし2019年4月24日にSHM-CDでリイシューされた『complex best』に関しては残念がら1998年の音のままであり配信も同様である。是非配信サイトで聴き比べてみてほしい。

Credit title|ROMANTIC 1990

PRODUCED BY TOMOYASU HOTEI

KOJI KIKKAWA - VOCALS
TOMOYASU HOTEI - GUITARS,B・G VOCALS,BASIC RYTHM PATTERN & KEYBOARDS("ROMANTICA","PROPAGANDA","1990")
TAKESHI FUJII - KEYBOARD PROGRAMMING
HIDEO YAMAKI - DRUMS("PROPAGANDA","LOVE CHARADE","BLUE","AFTER THE RAIN")
SATOSHI MIYAWAKI - DRUMS("GOOD SAVAGE")
TAKESHI ASADA - BASS("PROPAGANDA","LOVE CHARADE","BLUE","AFTER THE RAIN")
BAnaNA - KEYBOARDS("BLUE","THE WALL","DRAGON CRIME")
HIROYUKI HANADA - ACOUSTIC GUITAR("AFTER THE RAIN")

RECORDING&MIXING ENGINEER: MICHAEL ZIMMERLING
ASSISTANT ENGINEER: CALUM REES/TRISTIN POWEL/YASUHIRO ITO
RECORDED AT SEDIC STUDIOS
EXCEPT FEMALE B・G VOCALS & HORNS RECORDED AT ABBEY ROAD STUDIOS
MIXED AT OLYMPIC STUDIOS
MASTERED AT MASTER ROOM

Digital re-mastered by IAN COOPER (METROPOLIS MASTERING)

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アルバム『ROMANTIC 1990』 配信サイト

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